アイヌの人々とクマの関係を描いた絵本「クマと少年」。
赤ちゃんのクマ・キムルンは、神の国からの授かりものとして人間の手で育てられます。
お乳を飲ませ、名前を呼び、まるで人間の子どものように大切に育てられる存在。
少年にとってキムルンは、兄弟のような存在だったのだと思います。
やがて近づくイオマンテ(熊送り)の時。
キムルンは逃げてしまい、少年は必死に探します。
再会したキムルンから告げられる「神の国に帰してほしい」という言葉。
少年は矢を放ちます。
仕留められたかどうかは、絵本の中では描かれていません。
この余白が、とても印象に残りました。
かわいそう、だけでは終われない気持ち
正直に言うと、読んでいて胸が苦しくなります。
兄弟のように育った存在を、自分の手で神の国へ返すという選択。
今の感覚で考えると、とても受け入れがたい行為です。
でも同時に、
アイヌの人々にとってクマは「支配する存在」でも「ただの危険な動物」でもなく、
神として迎え、敬い、そして送り返す存在だったのだということも伝わってきます。
この絵本は
「正しい」「間違っている」を判断させる話ではなく、
人間中心ではない自然との距離感をそっと見せてくれる物語なのだと感じました。
今の時代に読むからこそ、考えてしまうこと
最近、クマが冬でも出没したり、人を襲ったりするニュースをよく目にします。
「クマは危険」という言葉だけが強く残ることも多い気がします。
もちろん、クマは危険な存在です。
それは否定できません。
でもこの絵本を読むと、
危険かどうか、という一つの軸だけでは語れない
人と自然の関係があったことに気づかされます。
イオマンテをどうするべきか、という話ではありません。
ただ、
人間も自然の一部であり、
クマもまた同じ世界を生きる存在として向き合っていた人たちがいた、
その視点を知ること自体に意味があるのではないかと思いました。
子どもと一緒に読むなら
子どもにとっては
「かわいいクマ」「悲しい別れ」の物語として心に残るかもしれません。
大人にとっては
・命をいただくこと
・自然と距離を取ること
・別れを受け入れること
そんな簡単には答えの出ないテーマを、
静かに考えるきっかけをくれる一冊だと思います。
答えを出さなくていい。
「どう思った?」と話してみるだけで十分。
読後に、少し立ち止まって考えたくなる絵本です。
この物語の世界観や、自然との距離感について知りたい方は、ぜひ原作を手に取って読んでみてください。
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