手がかからない子の、見えにくかった世界

親子のイメージ写真 子育て・教育

上の子は、いわゆる「手がかからない子」でした。

勉強はコツコツ取り組み、理解も早い。
運動もできて、ダンスの振り付けもすぐ覚える。
指示もよく聞けて、集中力もある。

小学校受験にも向いているタイプだと思いましたし、
実際、ピアノも説明が少なくてもすっと入ります。曲の覚えも早く、修正もすぐできる。

正直なところ、
「よくできるなあ」
「育てやすいなあ」
そう思う場面のほうが多かった気がします。

でも、同時にずっと感じていたことがありました。

この子は、とても繊細だということ。

感情の揺れに敏感で、
周りの空気をよく読む。
できてしまうからこそ、無理をしていないか、
どこまでが頑張りで、どこからがしんどさなのか、
分かりにくい子でもありました。

そんな上の子が、いちばん安心した顔をする時間があります。

それが、絵本を作っているときです。

紙とペンを前にすると、
自分の世界を静かに広げていく。
起承転結が自然とあり、
登場人物の気持ちも丁寧に描かれている。

「想像力があるんだな」と思う一方で、
今ではこう感じています。

これは、ただの遊びではなく、
この子にとっての“癒し”なのだと、今では感じています。

勉強もできる。
運動もできる。
周りから見れば、順調そのもの。

だからこそ、
この子の繊細さは見えにくかったのだと思います。

できる子だから、大丈夫。
手がかからないから、問題ない。

そうやって、無意識に思っていた自分にも、
少しずつ気づくようになりました。

でも、
できることと、感じやすいことは、
同時に存在していい。

むしろ、
たくさん理解できるからこそ、
たくさん感じ取ってしまうこともある。

絵本作りの時間は、
誰かと比べられることもなく、
正解も不正解もなく、
自分のペースでいられる世界。

上の子にとって、
そこは安心できる居場所なのだと思います。

手がかからなかったのではなく、
ちゃんと自分の内側で、
バランスを取っていたのかもしれません。

「できる子」
「しっかりした子」

そんな言葉の奥に、
静かで豊かな世界があることを、
私はこの子から教えてもらいました。

見えにくかっただけで、
最初から、ちゃんとそこにあった世界。

これからも、
できる・できないだけで測らずに、
この子のペースを信じてそっと見守っていきたいと思います。

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